【ショーペンハウアーの箴言36】
【原文】
Für das praktische Leben ist das Genie so brauchbar wie ein Stern-Teleskop im Theater.
【和訳】
実際的な人生のためには、天才という者は、劇場で使う、天体望遠鏡と同じ位に必要なものである。
【解釈と鑑賞】
これも、ショーペンハウアーらしい箴言です。
天才の、世間での必要性を、天体望遠鏡に譬えている。本来は星辰を観るための道具ですが、世間の人間達は、劇場での演劇を眺めるために使っているというのです。
それ位の実用性という言い方の、それ位という言葉に、どれほどの意味を見つけようとするかで、この箴言が辛辣になるかどうかの分かれ目、瀬戸際でしょう。
劇場で天体望遠鏡を使うということは、天才の本来の能力の意味には、世間は無知であるという含意があります。
また、演劇の舞台を劇場で眺めるというこの譬喩(ひゆ)もまた、ショーペンハウアーらしい譬喩です。勿論、この譬喩は、この哲学者の独創ではありませんが、誠に相応しい譬喩だと思います。
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