【カフカの箴言35】
【原文】
Es gibt kein Haben, nur ein Sein, nur ein nach letztem Atem, nach Ersticken verlanendes Sein.
【和訳】
所有ということなど存在しないのだ、ただ一個の存在があるだけだ、ただひとつの、最後の呼気を求めて、窒息を求めて欲求している存在があるだけなのだ。
【解釈と鑑賞】
人間を存在と呼んだことで、余計な解釈抜きの、箴言になっています。
所有でなければ、非所有であり、存在は所有することの叶わぬものです。カフカは、人間をそのようなものと言っている。
それも、時間の中では、行き着く所は、最後の息、即ち窒息であるというのです。
この窒息という語の選択には、読者には、何かしら惨(むご)いものがあります。
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