2014年9月23日火曜日

【カフカの箴言35】所有と存在



【カフカの箴言35】


【原文】


Es gibt kein Haben, nur ein Sein, nur ein nach letztem Atem, nach Ersticken verlanendes Sein.


【和訳】

所有ということなど存在しないのだ、ただ一個の存在があるだけだ、ただひとつの、最後の呼気を求めて、窒息を求めて欲求している存在があるだけなのだ。



【解釈と鑑賞】


人間を存在と呼んだことで、余計な解釈抜きの、箴言になっています。

所有でなければ、非所有であり、存在は所有することの叶わぬものです。カフカは、人間をそのようなものと言っている。

それも、時間の中では、行き着く所は、最後の息、即ち窒息であるというのです。


この窒息という語の選択には、読者には、何かしら惨(むご)いものがあります。

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