2014年10月4日土曜日

【カフカの箴言37】所有と非所有



【カフカの箴言37】所有と非所有


【原文】


Seine Antwort auf die Behauptung, er besitze vielleicht, sei aber nicht, war nur Zittern und Herzklopfen..


【和訳】

彼はひょっとしたら所有しているのかも知れないが、しかし、そうではないかも知れないという主張に対する彼の答えは、ただ体の震えと心臓の切迫だけであった。



【解釈と鑑賞】

最初の彼と二つ目の彼が、同一人と考えることにしましょう。

誰かが、彼についてのことを、このように言ったのでしょう。

そして、その、彼の答えが、身を震わせ、心臓が高鳴ったというのです。

この解釈も多様にあり得ますが、しかし、どの文脈に措いて解釈するかは、読み手次第です。

問題は、この問いと答えが、所有ということを巡って交されているということです。

彼はひょっとしたら所有しているのかも知れないが、しかし、そうではないかも知れないという主張に対する彼の答えは、」というところまでは、夢の世界であり、その後の「ただ体の震えと心臓の切迫だけであった。」というところは、現実であると理解することもできます。

何か、カフカという人間の生理を想像させ、カフカが執筆することの意味を暗示しているように思われます。




0 件のコメント:

コメントを投稿