【カフカの箴言37】所有と非所有
【原文】
Seine Antwort auf die Behauptung, er besitze vielleicht, sei aber nicht, war nur Zittern und Herzklopfen..
【和訳】
彼はひょっとしたら所有しているのかも知れないが、しかし、そうではないかも知れないという主張に対する彼の答えは、ただ体の震えと心臓の切迫だけであった。
【解釈と鑑賞】
最初の彼と二つ目の彼が、同一人と考えることにしましょう。
誰かが、彼についてのことを、このように言ったのでしょう。
そして、その、彼の答えが、身を震わせ、心臓が高鳴ったというのです。
この解釈も多様にあり得ますが、しかし、どの文脈に措いて解釈するかは、読み手次第です。
問題は、この問いと答えが、所有ということを巡って交されているということです。
「彼はひょっとしたら所有しているのかも知れないが、しかし、そうではないかも知れないという主張に対する彼の答えは、」というところまでは、夢の世界であり、その後の「ただ体の震えと心臓の切迫だけであった。」というところは、現実であると理解することもできます。
何か、カフカという人間の生理を想像させ、カフカが執筆することの意味を暗示しているように思われます。
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