2014年6月28日土曜日

【カフカの箴言22】真の敵対者


【カフカの箴言22】


【原文】


Vom wahren Gegner fährt grenzenloser Mut in dich.


【和訳】

真の対向者、反対者からは、限り無ない勇気が、お前の中に入って来るのだ。


【解釈と鑑賞】

これも、何をいひたいのでせうか。

自分自身に言ひきかせているやうな一行です。





【ショーペンハウアーの箴言22】余り不幸にならない方法


【ショーペンハウアーの箴言22】




【原文】

Denn, um nicht sehr unglücklich zu werden, ist das sicherste Mittel, dass man, nicht verlange, sehr glücklich zu  sein.



【和訳】


というのも、余り不幸にならないために、最も確実な手段は、非常に幸せであることを求めないことだからである。


【解釈と鑑賞】


註釈不要の箴言では、ないでせうか。


2014年6月21日土曜日

【カフカの箴言21】宿題と生徒の関係


【カフカの箴言21】


【原文】


Du bist die Aufgabe. Kein Schüler weit und breit.


【和訳】

お前が、宿題そのもの、問題なのだ。しかし、そんな生徒は、世間広しといえども、どこにもいやしないのだ。


【解釈と鑑賞】

これは、何をいひたいのでせうか。

何か、これはカフカが自問自答した一文のやうに思へます。

どのやうな文脈でこの一文を解釈できるかは様々でありませうが、例えば、カフカの職場で、何か最初の文をカフカ自身に言はれたとして、それをしばし考へ、しかし俺は生徒ぢゃないぜと思ったら、二行目のやうな文が生まれるのではないでせうか。

想像自由な2行の文といふべきでせう。




【ショーペンハウアーの箴言21】慇懃無礼


【ショーペンハウアーの箴言21】




【原文】

Hoefflichkeit mit Stolz zu vereinigen ist ein Meisterstück.



【和訳】


誇り高き親切、誇り高き礼儀深さというものは、それだけで、一個の名品、名作である。


【解釈と鑑賞】


これも、註釈不要の箴言です。

普通、誇り高いひとは頭が高いとしたものですが、この二つの一見相反することを、深く一個の人間の中で結びつけている人士は、それはやはり、本当の意味の名士でありませう。

慇懃無礼という言葉、相反する二通りの解釈を許す、その機微を、この箴言は突いております。




2014年6月14日土曜日

【カフカの箴言20】投石と道


【カフカの箴言20】


【原文】


So fest wie die Hand den Stein hält. Sie hält ihn aber fest, nur um ihn desto weiter zu verwerfen. Aber auch in jene Weite führt der Weg.



【和訳】

手が石を握るほどに、そのように固く。しかし、一層と遠くに石を放り投げるために、手は石を固く握る。しかし、その遠いところへも、道は続いてゐるのだ。


【解釈と鑑賞】

これは、何をいひたいのでせうか。

石を固く握って、遠くへ放っても、道には届かないとふことをいってゐるのでせうか。

石を投げるよりは、道を行けといふことなのでせうか。



【ショーペンハウアーの箴言20】運命とは何か


【ショーペンハウアーの箴言20】




【原文】

Was aber die Leute gemeiniglich das Schicksal nenne, sind meistens nur ihre eigenen dummen Streiche.


【和訳】


しかし、人々が普通運命と呼ぶものは、殆どの場合、自分の愚行に過ぎない。


【解釈と鑑賞】


これも、註釈不要の箴言です。


2014年6月7日土曜日

【カフカの箴言19】狼藉と酒と儀式


【カフカの箴言19】


【原文】


Leoparden brechen in den Tempel ein und saufen die Opferkrüge leer; das wiederholt sich immer wieder; schliesslich kann man es vorausberechnen, und es wird ein Teil der Zeremonie.



【和訳】

豹が寺院の中に押し入って、そして奉納された壷の中の酒を鯨飲して空にした。これが何度も繰返された。遂には、それを最初から見越し、計算して、儀式の一部になったとさ。


【解釈と鑑賞】

これも、何といいませうか、あり得る現実のことを、言葉で表すと、成る程さもありなむといふ一行です。


豹とは動物の名前ですが、しかし、この類いの人間であるととってよいでせう。

【ショーペンハウアーの箴言19】悪魔は笛を吹かず、愚者も鈴の音を鳴らさない


【ショーペンハウアーの箴言19】




【原文】

Also, wer erwartet, dass in der Welt die Teufel mit Hörnern und die Narren mit Schellen einhergehn, wird stets ihre Beute, oder ihr Spiel sein.


【和訳】


即ち、こういふわけで、この世で、悪魔が笛と共に、そして愚者が鈴をつけて、登場といふことを期待する者は、絶えず、悪魔と愚者の餌食であり、又は悪魔と愚者の慰みものになること必定である。


【解釈と鑑賞】

全くこの通りの世俗の有り様です。

悪魔は笛を吹かず、また笛の音とともに登場せず、愚者が来たぞといって、だれも鈴の音を鳴らすことはない。

ショーペンハウアーの箴言は、辛辣であります。