2015年4月13日月曜日

【ショーペンハウアーの箴言66】遊牧生活と観光生活


【ショーペンハウアーの箴言66】


【原文】

Das Nomadenleben, welches die unterste Stufe der Zivilisation bezeichnet, findet sich auf der höchsten im allgemein gewordenen Touristenleben wieder ein. Das erste ward von der Not, das zweite von der Langweile herbeigeführt.


【和訳】

遊牧の生活というもの、これは文明の最下層であるが、それが、最高度の、一般的になった観光の生活の中に再び現れている。前者は、欠乏により、後者は、退屈によって、招来されたものである。


【解釈と鑑賞】

これも、ショーペンハウアーらしい、当時の観光の隆盛をみての観察を箴言にしたものです。

ショーペンハウアーらしいといふのは、最下層の狩猟遊牧の生活というものと、最高度の、全く無為の観光旅行という暇つぶしを対比させたことです。

しかし、果たして遊牧生活が文明の最下層かどうか、確かに文明という都市生活の定住生活からみると原始的な生活にみえるでせうが、文明や都市生活と切り離して、また別の物事との関係で考へたときに、それが最下層かだうかは、別の話です。

後者の場合には、文明と都市生活が最下層といふことになるかもしれません。

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