2015年4月5日日曜日

【ショーペンハウアーの箴言64】人生の智慧


【ショーペンハウアーの箴言64】


【原文】

Ein wichtiger Punkt der Lebensweisheit besteht in dem richtigen Verhältnis, in welchem wir unsere Aufmerksamkeit teils der Gegenwart, teils der Zukunft widmen, damit nicht die eine uns die andere verderbe.


【和訳】


人生の智慧の重要な点は、わたしたちが、その注意を、あるときは現在に、あるときは未来に捧げる其の正しい比率の中にあるのであり、それによって、一方が他方を腐敗させることのないようにするということが肝要な点なのだ。


【解釈と鑑賞】

これも、この通りの箴言でありませう。

未来に期待をかけすぎず、目の前のことにも信頼をし過ぎることなく、均等に考量すること。

と、こう書いてきても、なかなかむつかしいことだとわかります。

というのは、人間は時間の中に生きているからです。

としてみれば、この一行を書くことのできたショーペンハウアーは、時間の外にゐたのです。

そうして、やはりそのような心がけで主著『意志と表象としての世界』を書いたのでしょう。

この主著の最後の言葉は、すべて何もかも、天上の銀河も、すべては、無、と書いて終わっています。

上の一行は、無について考えよと言っているのです。そうすれば、そのことは可能であると。



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