【カフカの箴言53】蛇と天使と 悪と善と
【原文】
Es bedurfte der Vermittlung der Schlange: das Böse kann den Menschen verführen, aber nicht Mensch werden.
【和訳】
蛇の仲介が必要だった。即ち、悪は、人間を誘惑することができる、しかし、人間になることはできない。
【解釈と鑑賞】
これは、カフカの現実認識を示している。蛇が仲介であり、媒介者であるということを、このドイツ語で、die Vermittelungという言葉を選択するカフカの日常は、実に苦しいものであったにちがいない。
なぜならば、自分は空であり、虚であることの認識が自分にあったからである。もちろん、これが心地よいという人間もいるのだ。
しかし、今まで読んできたカフカの箴言をみると、この人間はそうではない。
この箴言を次のように言い換えると、カフカのことが、よくわかるのではないだろうか。
天使の仲介が必要だった。即ち、善は、人間を誘惑することができる、しかし、人間になることはできない。
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