2015年5月17日日曜日

【カフカの箴言72】一個の人間と主観と客観との関係について



【カフカの箴言72】


【原文】

Es gibt im gleichen Menschen Erkenntnisse, die bei völliger Verschiedenheit doch das gleiche Objekt haben, so dass wieder nur auf verschiedene Subjekte im gleichen Menschen rückgeschlossen werden muß.


【和訳】

同じ人間の中に、複数の認識があるが、しかし、全く異なつてゐるにも拘らず、同じ客体(客観)を有してゐる複数の認識があり、その結果、再び、唯様々に異なる主体(主観)へと、同じ人間の中で、(結果から原因を推論する)帰納法によって推論されねばならないのだ。


【解釈と鑑賞】

これは、一人の人間の中に様々な人間がゐると、外にゐる他者からはさう見えるけれども、実際にはその一人の人間の中に様々な人間がゐるのではなく、一個の客体(対象)があるだけなのであつて、その多様な外面から、内面の複数の主体の存在することを機能することになつてしまふといふ、カフカの観察の結果の事実を述べてをります。




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