【ショーペンハウアーの箴言70】
【原文】
Unsere zivilisierte Welt ist nur eine große Maskerade.
【和訳】
我々の文明化した世界は、単なる一個の巨大なる仮装舞踏会である。
【解釈と鑑賞】
これも、この通りでありませう。
この巨大なる仮装舞踏会を開催し、その中に生きる人間の姿を、ある箴言の小話では、ヤマアラシという針を全身に持っている小さな動物に例えて、お互いにチクチクとやりあはないやうに適度の距離を以って生きる姿として書いてをります。
その主著『意志と表象としての世界』での思想のよれば、この仮装舞踏会は、互いの個人の意志が衝突しないように生きるための舞台装置の一つであるといふことになりませう。
また、舞踏会でありますから、踊らねばならないことになるでせう。
トーマス・マンの『トニオ・クレーガー』の一節、わたしは眠りたいのに、お前は踊らねばならないといふのか、という一節を思ひだします。
本物の藝術家や哲学者は、いつも物事の実相を観るものだと思ひます。
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