2015年3月7日土曜日

【カフカの箴言60】階段と磨り減つて出来た穴と人生と

【カフカの箴言60】

【原文】

Eine durch Schritte nicht tief ausgehöhlte Treppenstufe ist, von sich selber aus gesehen, nur etwas öde zusammengefügtes Hölzernes.


【和訳】

Eine durch Schritte nicht tief ausgehöhlte Treppenstufe ist, von sich selber aus gesehen, nur etwas öde zusammengefügtes Hölzernes.
規則正しく歩くことによって深く掘り込まれて穴のあかない階段の段というものは、それ自体からして見ると、荒涼として連結された単なる木材というようなものに過ぎない。


【解釈と鑑賞】

木の階段を登りながら、カフカは考へたのでせう。プラハの建物の階段です。さうして、それは降る階段ではなかつたことでせう。

この解釈は多様にあり得ます。

しかし、いつものカフカの論理に従へば、だからといって、階段に穴があけばよいといふものではないのです。

このカフカの論理は、実に安部公房によく通ってをります。それ故に、後者は、前者が好きだつたのでせう。


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