2014年5月24日土曜日

【ショーペンハウアーの箴言17】成熟と認識


【ショーペンハウアーの箴言17】




【原文】

Bei reiferer Erfahrung sehen wir die Unbiegsamkeit der menschlichen Charaktere ein, wie kein Flehen, noch Vorstellen, noch Beispiel geben, noch Wohltun sie dahin bringt, von ihrer Art zu lassen, sondern vielmehr ein jeder seine Handlungsweise, Denkungsart und Fähigkeit mit der Notwendigkeit eines Naturgesetzes durchführen muss.


【和訳】


経験がより成熟すると、人間の多くの性格のどうしようもない頑固、意固地を洞察して、(その本質を)見抜くことになり、それはどのような洞察かと言へば、懇願しても、想像しても、例を示しても、善行を為しても、この頑固、意固地を変えて、そのやり方を放棄させることには至らずに、さうではなくて、それどころかむしろ、人間の性格といふものはどの性格であつても、その行為の仕方を、思考の方法を、そして能力を、ある自然の法則の必然性によつて遂行せずにはゐられないといふことなのである。


【解釈と鑑賞】

ショーペンハウアーが、その「自然の法則の必然性」を何だと論じ、どのようなものであるのかを論じたのが、主著『意志と表象としての世界』です。

埴谷雄高は、この法則の外に出たいと願って、『死霊』を書いた。安部公房もまた、この法則の外に出たいと願って、すべての主人公の願う消極的な脱出、即ち失踪を描いた。



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