2015年6月13日土曜日

【カフカの箴言76】消極的な決心と洪水の関係



【カフカの箴言76】


【原文】

Dieses Gefühl : hier ankere ich nicht− und gleich die wogende, tragende Flut um sich fühlen!.


【和訳】

この感情:”ここを水浸しにしてなるものか”、そして直ちに、自分の周りに大波が波打ち、ひとを攫(さら)つて行く洪水を感じるのだ!


【解釈と鑑賞】


さう思つたら、そのやうになるといふ教訓でありませうか。

ankerenという綴りは、Ankernと解して、さう訳しました。

そうであれば、その後の洪水の喩えにつながることができます。

”ここを水浸しにしてなるものか”と訳しましたが、

”わたしだつたら、ここを水で一杯にすることはない”といふ訳もあると思ひます。

ここを水で一杯にする、といふ此の感覚、これが日本人には一寸ぴんと来ないやうに思ひますが、如何でせうか。

他の用例をも見てみますと、自分が何かそちらの方に向かふ、身を振り向ける、お願いをする、声に出しておーいと呼びかけるといふ意味であることが判ります。


としてみれば、ここでは、そのやうな行為をしないといふ意味の過カフカの箴言であります。

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