2015年6月27日土曜日

【ショーペンハウアーの箴言78】願ひとは叶ふものなのか?


【ショーペンハウアーの箴言78】


【原文】

Überhaupt aber ergeht es uns im Leben wie dem Wanderer, vor welchem, indem er vorwärts schreitet,  die Gegenstände andere Gestalten annehmen, als sie von ferne zeigten, und sich gleichsam verwandeln, indem er sich nähert. Besonders geht es mit unseren Wünschen so.


【和訳】

そもそも、しかしながら、人生の中にあつては、我々の身に起こることといへば、それは、旅人の身に起こることも同然なのであり、つまり、旅人といふ者がゐて、旅人が行進して前へ進むことによつて、旅人の前では色々な対象が其の他の様々な姿をとるわけであるし、対象は其の姿を其のようなものとして遠くから示すのであらうし、そしてまた、旅人が近づゐて来ることによつて、色々な対象は言はば姿を変ずるのであり、そのような旅人の身にとつてさうであるやうなものなのである。特に、我々の願いや希望というものについていふならば、まさしくさうである。


【解釈と鑑賞】

わたしたちを旅人に喩えて、希望や願いに近づかうとしても、それは最初に本来思つてゐたものとは姿を変じて、われらが眼前に姿を現わすといふのです。

然りといふべきでありませう。

今ここで一言でいへば、人生はもどかしいといふことになりませうか。






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