【ショーペンハウアーの箴言49】宗教と国家:松葉杖と憲法
【原文】
Die Religion ist eine Kruecke für schlechte Staatsverfassungen.
【和訳】
宗教は、拙劣なる国家の憲法のための松葉杖である。
【解釈と鑑賞】
これもその通りの譬喩で、ここで言っているのは、近代国家は不完全であること、国家が何もかもすべてを取り仕切ることはできないことを言っています。
その間隙と、その間隙から漏れ落ちるものを掬い取るのが、宗教だということ、そして、それで、まあ近代国家もなんとか松葉杖たる宗教に頼って歩いて行けるということなのです。
その国の民族と国民にとって、宗教は大切です。
ショーペンハウアーの譬喩はいつも透徹しております。その主著『意志と表象としての世界』にあっても、この考え通りに、そもそも国家とは、必要悪なるものとして書かれています。これは、これで、富裕の商人の息子として生まれた此の哲学者の持つ辛辣な眼でありましょう。
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