2014年12月7日日曜日

【カフカの箴言46】馬に乗って疾駆する人生からどうやって逸脱するか



【カフカの箴言46】


【原文】


Je mehr Pferde du anspannst, desto rascher gets - nämlich nicht das Ausreissen des Blocks aus dem Fundament, was unmöglich ist, aber das Zerreissen der Riemen und damit die leere fröhliche Fahrt.


【和訳】

お前が馬に馬具を取り付ければ、取り付けるほど、それだけ一層速くなる。つまり、土台から、その足枷を引きちぎることにはならないし、それは不可能なことであるが、しかし、革紐を千切れば、それで、空虚で、愉快な騎行にはなるのだ。


【解釈と鑑賞】

以前の箴言で、カフカが馬に自分を例えるというものがありました。

また、ある短編集で、馬に乗って疾駆するインディアン
を書いた数行の短文があって、そのインディアンの乗る馬の首が、次第に消滅していくというのがありました。首がなくなったときには、インディアンは馬ではない馬に乗っていることになる、ある時制を使った複雑な文章でした。

馬は、カフカに何かを教えた、そのような動物なのでしょう。

と、このように書きましたが、同じ評言をここでも使うことができます。

生きて仕事をすること、あるいは生きることそのものを、このように譬えているのでしょう。

革紐とは、馬の胴体に馬具をくくりつけるための革紐でしょう。
しかし、これをひきちぎったら、馬が走っているわけですから、馬具が飛んで、騎乗者は落っこちてしまうでしょう。

してみると、最後の「空虚で、愉快な騎行」とは、馬からみたこの自走のことを言っているのはないかと思います。

やはり、カフカは、騎乗者ではなく、自己を馬の方に譬えていると考える方がよさそうです。




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